スサノオは「皇国の本主」

天王社とはスサノオを祭る神社の事である。
全国に三千余あるといわれる天王社の総本社は、愛知県津島市にある津島神社だ。弘仁元年(八一〇)正月、嵯峨天皇は、
「素尊は則ち皇国の本主な久故に日本の総社と崇め給いしなり」と称され、「日本総社」の号を奉られたと言う事なのだ。
八一〇年といえば記紀はとっくに完成し、後発と考えられる事の多いアマテラス信仰も確立し、記紀によって貶められたみじめなスサノオ像はすでに誰の眼にも明らかであったはずだ。

記紀によって明らかに卑しめられ、貶められた存在と言えばスサノオと出雲だろう。貶められなければならないほど、元々強大で時の権力にとって脅威であり、出来る事なら人々の記憶から消してしまいたいそのような存在だったのではあるまいか。

嵯峨天皇は、スサノオを「皇国の本主」と讃え、津島神社を「日本の総社」と崇められたというのだ。

記紀によれば「皇国の本主」はもちろんアマテラスであり、「日本の総社」は伊勢神宮のはずではないか。これは、スサノオという、人が天皇にとって、彼らの上に君臨するいかに格別な存在であったかを、明らかに物語るものでなくて何であろう。

また、さらに類推される事として、天皇家にはスサノオを祭る勢力とアマテラスを祭る勢力があったのではないか?

コメント