BS1スペシャル「中国“改革開放”を支えた日本人」を見て(2)


今の日本は欧米、特にアメリカから経済合理性だけを学んでキリスト教的倫理観を学びませんでした。それでも日本古来の神道、仏教、儒教の倫理観、あるいは武士道の倫理観を持ち続ければよかったのですが、明治維新によって、GHQよって、高度経済成長によって日本の倫理観は破壊され、日本人自身も倫理観を捨ててしまいました。

その最大の要因は日本人が宗教を失った事です。日本は世界でも非常に珍しい無宗教国家です。これは国際常識から言ってとても恥ずかしい事です。私はキリスト教徒ですが、自分の信仰の故に日本社会で何度も迫害されました。はっきり言って日本人は国際的田舎者です。日本人の感性では世界に通用しません。倫理観がないからです。だから平気でパワハラ、セクハラ、モラハラ、いじめ、モンスターペアレント、モンスターカスタマー、モンスターペイシャントが横行します。日本人は気づいていませんが、日本は今、モラルハザードを起こしています。今や日本は世界稀にみる低モラル国家です。お金があって、街は綺麗で発展しているかもしれません。しかし、一番大切な人の心が病んでいます。

日本にも過去から現在にかけて非常に高いモラルを持った人がいました。宗教を失ったのなら過去の徳高い人の教えを学ぶのが良いでしょう。稲山嘉寛新日鉄社長は「中国の安定と発展はアジアの安定と発展繋がる。中国への支援は我々の使命である。」言いました。稲山社長は自社の利益だけに固執しませんでした。

1978年に「日中長期貿易取り決め」が策定されました。日本はプラントや建設資材を中国に売り、中国は鉄鋼や石炭を日本に売りました。やがて中国国家経済委員会訪日視察団が訪日してなんと40企業が受け入れたのです。なんと言うお人好しでしょうか?いわば、産業スパイをわざわざ招き入れて、工場見学をさせ、技術解説もし、さらには

各省庁の次官クラスの講義まで行われました。本当に当時の日本人のお人好しさ加減は呆れるばかりですが、日本人がこんなに人を信じて、親切にしたというのは誇れる事だと思います。今日、世界的に競争が激化して、知的財産権が厳格に管理されるようになりましたが、本当に夢みたいな理想論を言えば、新技術は世界で共有して人類がともに豊かになっていくのが本当の姿ではないでしょうか?限られたパイを奪い合うのではなく、パイ増やすという考え方です。最も今ような極端な人口増加社会では非常に難しいですが。中国国家経済委員会訪日視察団はあまりにも日本人が親切で友好的なので非常に驚きました。そして日本研究ブームが訪れました。中国の副総理である谷牧(こくぼく)副総理は世界中に経済視察団を送り、中国がモデルとすべきは日本だという結論に至りました。やがて三中全会で共産主義気国家ではありえない、まさに新しい概念である改革解放が決定しました。

真っ先に中国の国営企業改革に乗り出したのが小松製作所でした。コマツは北京内燃機総廠という中国を代表する国営企業に王子光氏を派遣しました。当時、中国には不良品と廃品の区別がありませんでした。だから生産効率はとんでもなく悪く、製品も粗悪でした。王子氏は不良品とは修理したら使える物、廃品は修理しても使えない物であるという概念を教えて、基本的に工場は廃品を出してはいけないと教えました。そのために製造工程や製造方法を徹底して研究し、改善する事を教えました。これを聞いて中国の労働者はたいそう驚きました。当時、中国には技術革新の概念がなかったのです。国が決めた通りにやる。それが国営企業の労働者の常識でした。共産主義というのは恐ろしい者で人から考える力さえも奪ってしまうのです。

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