興味深い事実

草薙剣は時代考証的に、百済から来た輸入品だとか、銅剣だったという説もあるが、ヤマタノオロチの尾から出たと伝わるのだから、やはり出雲産の鉄剣である可能性が高い。また草薙剣は別名アマノムラクモノツルギという。天叢雲という呼称が隕鉄を暗示しているように思う。

鉄鉱石や砂鉄(いずれも酸化鉄)を還元して鉄を作る技術が発見される以前、人類は、純然たる鉄の塊を拾ってきて鉄器を作っていたらしい。鉄は天からの贈り物であり、文字通り神宝だったのだ。

トルコのアナトリア高原、アラジャヒュユクの遺跡から発掘された剣は、BC2300年頃のもので、柄と鞘が黄金、刀身が鉄製だった。同時に出土した鉄器に、4~5%のニッケルが含まれていることから、剣もおそらく隕鉄を鍛えたものと考えられている。

シリアのラス・シャムラの神殿から発見されたBC1500年頃の鉄斧は、2.25%のニッケルを含むから、やはり隕鉄だという。

エジプトのツタンカーメンの王墓から出た剣は、BC1400年以前に鍛造された隕鉄。イラク、ウル出土の短剣は10.9%ニッケルの隕鉄で、BC2500年頃のもの。これらは、手ごわい武器として戦場を血で染めたが、平時には、崇拝の対象、あるいは、特定の人物のみが触れることを許された呪力を持つキッチュとして扱われた。

ムガル帝国の皇帝のジャハーンギールも鉄隕石を使用したナイフと短剣をそれぞれ製作させている。製作させた理由は、「隕鉄を使用した刃物は魔力をもつ」といった伝承を信じてのこととされる。マレー半島やインドネシア一帯では、隕鉄のカケラを混ぜた魔法剣クリスが作られたという話がある。

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